Ubie株式会社は、テクノロジーの力で「世界中の人々を適切な医療に案内する」というビジョンの下、医療の質向上に貢献するAIを使ったサービスを提供するHealthtechスタートアップです。現在は、病院の紙の問診票をタブレット問診に置き換えることで病院の業務効率化を促す「AI問診Ubie」と、気になる症状を入力するとAI医師の病気予測により患者さんに適切な医療情報を提供する「Dr.Ubie」の2つのサービスを提供しています。
今回は、Ubieの共同代表取締役でありエンジニアでもある久保さんと、Findy Freelance経由で副業エンジニアとしてUbieにジョインした井口さんにお話を伺いました。
ーまずはUbieが掲げているビジョンから教えていただけますか?
久保:
Ubieでは、「適切な医療に世界中の人々を案内する」ということをビジョンに掲げています。現在、重篤な病気に罹っている患者さんが、病院へ行くタイミングがわからず受診が遅れた結果、手の施しようがなくなってしまうことがある一方、コンビニ受診による医療費増大も問題になっています。また、医療業界においても働き方改革が叫ばれるようになったり、医師不足が問題視されたりする現在、医師の業務の効率化も急務です。
こういった問題の解決には、誰もが自分にあった医療にアクセスできるようにする、つまり”医療の最適化”が必要だと考えます。そこで、ITの力を使って「適切な医療に世界中の人々を案内する」ことの実現を目指して、昨年2017年に創業しサービスの開発に取り組んでいます。
ービジョンの原点となったことは何でしょうか?
久保:
僕にとっての原点は、医療サービスにまだまだ改善の余地があると実感したことですね。「気になる症状が出たらとりあえず病院に行く」ことが当たり前だと思って、何かあったらすぐ病院へ行っていたのですが、いざ病院に行くとかなり待たされる上に、初診料等があると窓口で支払うお金だけで2000円以上もかかるじゃないですか。実はドラッグストアの薬で対処できる症状だったとわかったなんてこともありました。そんな経験をするうちに、これはもっと最適化されるべきだろうと問題意識を持った、これが原点です。医療を受ける側からの視点ですね。
ちなみに共同代表の阿部は、僕とは少し違った観点も持っています。彼は研修医時代に医療現場で患者が来るべきタイミングで受診しなかったために、症状が重症化していて亡くなってしまうという問題を目の当たりしたことが原点の1つだと言っていました。来るべきタイミングでちゃんと病院に来てもらえる仕組みを作りたいという想いがあります。こちらは逆に医療を提供する側の視点です。双方の視点がビジョンの原点になっていることがUbieの強みでもあります。
ービジョンの実現のために、どのようなサービスを提供していますか?
久保:
現在メインで提供しているのは、病院に対して業務効率化を促すツールとなるAIを使った問診サービス「AI問診Ubie」です。患者さんが病院へ行った際に、紙の問診票へ自分の症状等を記入する代わりに、AIが投げかけてくる医学的な質問にタブレットを使って答えてもらうようにするサービスなんですが、これによって、電子カルテに問診の内容が簡単にコピーできるので医師の業務を効率化できる上、問診内容からAIが推測した病気の結果も確認できるため、病気の見落としを防ぐことに貢献できます。
まだβ版をリリースしたばかりの段階ですが、患者さんに向けて症状から病気を予測するサービス「Dr.Ubie」も始めています。ゆくゆくは、気になる症状がある時にAIのチャットボットに対して状況を説明すると、AIの予測に基づき今すぐ病院へ行くべきか、市販薬を買って対処できるのか適切なアドバイスができるようなサービスにしたいと考えています。
ー今後目指すものについても教えてください。
久保:
テクノロジーが発展した現代においても、医療現場には解決すべき課題が山積みです。まずは日本において病院の業務効率化という観点で事業を始めましたが、今後はこれを海外に向けても拡大させていきたいですね。また、病院に向けたB to Bサービスで蓄積したデータを用いてB to C側のサービスをさらに充実させ、最終的には適切な医療のプラットフォームのようなものを作りたいという想いもあります。
ーエンジニアにとってサービスの面白さはどんなところにあると思いますか?
久保:
質の高いレアなデータを使えることでしょうか。実はUbieでは、電子カルテ等から自動的に拾って来た大量のデータではなく、医師自身が論文から抽出した少量ながら質の高いデータを使ってサービスを作り上げているんです。モデルはベーシックなものを使っていることも多いのですが、他では扱っていない密度の高いデータを使いながら、最適な処理・アプローチを考えられるのは面白いですよ。
また、患者さんが満足するAI問診の質問の選び方やAI医師の診断精度向上は、まだ用意された正解がない分野なので、その中でユーザーが満足するものをゼロから試行錯誤して作れるところもチャレンジングで楽しめると思います。
独特なところで言うと、誰もがわかりやすいユニバーサルデザインの実現を追求している所も面白いかもしれません。高齢者もメインユーザーとして想定しているので、カラオケのデンモク等を参考に70代・80代以上の方にも使いやすいUI/UXの実現にも力を入れているんです。
ー技術的な観点ではどうでしょうか?
久保:
当初、サーバーサイド周りの開発はRuby on Railsをメインとしており、最近はRubyの著名ブロガーも弊社にジョインしましたが、現在は徐々にKotlinの割合を増やしています。UbieにはKotlinのエバンジェリストや、日本人として唯一Kotlinの世界カンファレンスに登壇した方も携わってくれているので、そう言ったレベルの高いエンジニアと一緒に開発出来るのが1つの面白さだと思います。
Ubieでは、Ruby on Railsなど創業当初から培ってきた技術も大事にしつつ、新しい技術もどんどん取り入れて行きたいと考えているので、エンジニアの方に楽しさを感じてもらえる場面はたくさんあるんじゃないでしょうか。サーバーサイドレンダリングやReact、Redux、GCP…。この辺りのワードにワクワク出来る人なら、飽きない開発環境だと思いますね。
ー技術的なやりがい満載の組織のようですね!そうなると組織自体もエンジニアが多いのでしょうか?
久保:
社員やインターン、副業の方も含めてスタッフは現在30人います。その半分以上がエンジニアですね。ただ、実現させたい新機能がたくさんあるので、プロダクトの作り込みにまだまだエンジニアの力が必要だなと感じています。
ー井口さんは本業と副業でそれぞれどのような仕事をしているんですか?
井口:
本業では、クックパッドのユーザー基盤チームに所属し、ユーザー登録やログイン機能などのサービス全体に関わる機能の最適化に取り組んでいます。一方Ubieでは副業エンジニアとして、Webフロントエンドの基盤部分のアップデート等に携わっています。
ー本業と副業で違いを感じるところがあったら教えてください。
井口:
本業では、サービス規模も大きいため、Webのフロントエンドに関しては最先端な技術だけではなく、レガシーな技術を使い続けているのに対して、副業先では新しい技術をどんどん取り入れやすい環境にあるところが非常に楽しいと感じるところです。副業先でも日々色々と勉強させてもらってます。
ー副業から得られた学びとして、具体的にどんなものがありますか?
井口:
技術面では日々学びしかないので、具体例を出すと際限なくなりそうです(笑)。先程もお伝えした通り、本業では最新のWebフロントエンドで開発することがなかったので、最新のWebのフロントエンドを学べたのは貴重でした。これから本業で最新のWebフロントエンドが主流にする際には、副業での経験が活かせると思っています。
ー本業でやったことと副業でやったことが組み合わさって、プラスの成果が出たと感じたことがあれば教えてください。
井口:
大きいアプリケーションだと、新しい技術を気軽に取り入れることはなかなかできないので、副業先で新しい技術に日々触れて知見を広げられることが良い刺激になっています。副業先で学んだ新しい技術・これからの技術を本業の会社でどう活かせるだろうかと考えるヒントになることはたくさんありますね。
もちろんその逆で、本業でやったことを副業先にフィードバック出来るようになりそうだなというイメージが出来つつあります。例えば、本業でマイクロサービス化やgRPCにチャレンジしているところなのですが、こういった知見はUbieさんでも活用できるんじゃないかと考えています。
ー副業エンジニアに対する仕事の任せ方で意識していることはありますか?
久保:
意識しているのは、本業では経験できないような新しく楽しめそうなタスクと、本業でも経験済みのご自身が活躍できる得意なタスクの両方をお願いするということです。こうすることで、少ない時間の中でも存分に活躍してもらいながら、新しい知見を習得することにも繋げてもらえると思っています。
井口:
得意な分野の仕事と新しいチャレンジをブレンドして任せてもらえるのは、すごくありがたいですね。日々勉強することが山積みながら楽しんで取り組めているのは、得意とチャレンジのバランスのおかげだと思っています。
ー副業の方に活躍してもらうために意識していることはありますか?
久保:
appear inを使った週1のミーティング・Slackを活用した密なコミュニケーション、差し迫った案件はタスクとして振らない等ですね。副業の方は面談以降、滅多にオフィスには来ないので、リモートでも成果をきちんと出していただけるような工夫を意識して取り入れています。ちょうど今分報を取り入れようと考えているところですし、来週にはUbieパートナー飲みという、普段リモートで働いている方も踏まえたエンジニア同士の交流会も開催する予定です。
ー副業エンジニアとして、このような環境をどう感じていますか?
井口:
他社でも副業をしたことがありますが、Ubieの環境はエンジニアにとってすごく働きやすいと思います。Slackにちょっと書いたコメントに対しても真摯なコメントを返してもらえたり、すぐに反応してもらえたりするので、リモートでもきちんとコミュニケーションが取れるという安心感があります。
ー副業の方に限らず、会社の雰囲気づくりで意識していることはありますか?
久保:
Googleを意識しています(笑)。共同代表2人がGoogleをリスペクトしている影響からか、社員全員が採用や人については日頃から意識しているんです。”最強の人を採用して、最高に楽しく働こう”がモットーですね。最強な人にUbieを選んでもらえるように、副業やインターンという採用形態でも受け入れたり、正社員も含めコアタイムを設けない等の自由な働き方を推進したりしています。
ー最後に、こういう人と一緒に働きたい!という人材像を教えてください。
久保:
課題解決に情熱を注いで、プロダクトにコミットできる人と働きたいです。各分野のスペシャリストは当然欲しいですし、技術が好きという点も素地としてないとダメなんですが、医療ってある種エモい分野なので、課題解決を心から楽しめるかどうかが大事だと思っています。技術はめちゃめちゃ好きだけど、ユーザーに対して情熱を燃やせないという方がUbieで働くのは、お互いにとってよくない気がしますね。
医療ってまだまだテクノロジーを取り入れることができる部分も多く、まだまだ解決すべき課題がたくさん残っている分野だと思います。そこで課題解決に挑むのは、難しさも多い分すごく面白い。そんな想いに共感し、課題解決に向かって情熱を捧げる人をお待ちしています!
ー本日はありがとうございました!