世界各国のエンジニアと共に働く ー グローバルで活躍するマイクロソフト社の開発者サポート部門とは?

日本マイクロソフト株式会社には、開発者様向けのサポートを行うカスタマーサービス&サポートという部門があります。今回は、この部門に所属するK.Sさん、N.Iさん、R.Tさんの3名にインタビュー。

エンジニアとしての知識や経験を活かしつつ、お客様をサポートしていく仕事の魅力についてお話を伺いました。また、マイクロソフト社ならではのグローバルな連携や、社内における幅広いキャリアの選択肢など、さまざまなメリットについても聞いていきます。

開発者の目線で、お客様を適切にサポートする役目

――マイクロソフト社のカスタマーサービス&サポートは、どういったミッションを持つ部門なのでしょうか?

N.I:
カスタマーサービス&サポートは、Microsoft が提供している製品やサービスをご利用くださっているお客様向けのサポートを行っています。私達はその中でも Developer Support 部門に所属しており、開発者様向けのサポートを行っています。開発者としての目線で、お客様を適切にサポートするというのが私たちの役割ですね。

お客様が直面している表面的な問題を解決するだけでなく、お客様とコミュニケーションを取りながら、その後ろにある根本的な課題までリーチできるようなサービスを提供しています。

したがって、具体的な売上や数字というよりも、よりお客様の満足度を高めるために、何ができるのかを追求することが私たちのミッションになります。

K.S:
マイクロソフトは、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.」を企業ミッションとしており、あらゆる部門はそのミッションに基づいています。つまり、私たちが提供している製品やテクノロジーを使って、もっとお客様ができることを増やしていこう、ということですね。

「Azure」などのクラウドサービスは従来のようなライセンスビジネスとは違って、いかにお客様により良く製品やサービス、テクノロジーを使っていただくか、という提案を含めてMicrosoft のサポート サービスなんです。

テクノロジーやサービスの良さだけでなく、そこに付随するサポートサービスが良いからマイクロソフトの製品やサービスを選ぶ、と言っていただけるように、お客様にサポートを通して素晴らしいエクスペリエンスを提供していく。そうして、継続的にマイクロソフトのファンになっていただくことが、私たちの持っているミッションと言えます。

――業務の内容としては、どのような形でお客様の対応をされることが多いですか?

K.S:
お客様からお問い合わせをいただいて、トラブルを解決するために調査していきます。例えば、お客様に切り分けの作業を実施していただいて、その情報を見ながら解決に向けて電話やメールでサポートしたり、などですね。

ただ、お客様とコミュニケーションする中で情報を引き出していくと、実はお問い合わせいただいた質問は一部分で、その背景に根本的な課題があることも多いんです。その場合は、それを踏まえてどうクリアするか、といったことを提案させていただく場合もあります。

N.I:
基本的には、最初は「フリーズした」とか「エラーが起こる」といった、目に見える問題から入ります。ただ、ケースバイケースではありますが、例えばマイクロソフトの製品がお客様のサービスに組み込まれている状態で、テストのプロセスに何か問題がありそうであれば、開発プロセスまで踏み込んで一緒に解決していくこともありますね。

K.S:
それから、何か困ったことが起きた際、まずはWebで調べられる方も多くいらっしゃるので、Web上に情報がなければ困ってしまいますよね。

どんな情報で何がわかるのかを共有していくことで、お客様自身でトラブルシューティングができるようになります。ですから、例えばブログで情報を発信したり、フォーラムにポストしたりといった、私たちからの積極的な情報発信も求められていることの1つです。

海外拠点での経験や、開発部門とのグローバルな連携も

――マイクロソフト社ならではのグローバルな面で、面白かった経験はありますか?

R.T:
私はエスカレーションエンジニアとして、4年間ほどイギリスに行っていました。通常、私たちのサポート窓口が開いているのは9時から17時半なのですが、例えばサーバーがダウンしてしまって、緊急対応しなければならないケースなど、どうしても夜間にサポートが必要なお客様もいらっしゃいます。

それを日本で対応しようとすると、徹夜することになってしまいますから、日本人が海外のさまざまな拠点にいることで、日本語での24時間サポートを可能にしているんです。その1人として、日本時間の夕方から深夜1時までをイギリスで対応していました。

サポート部門の人たちの近くの席を用意してもらっていて、向こうのメンバーとコミュニケーションする機会も多くありました。同じ製品を対応しているので、どんなお問い合わせがくるのか、どう対応しているのかを聞いてみると、日本ではないような事例もあったりして。カルチャーの違いを教えてもらうという面でも、すごく面白かったです。

K.S:
直近だと、新元号のグローバルな対応ですね。2019年5月1日になったら、日本では平成31年ではなく「令和元年5月1日」となるように、あらゆる製品やサービスが対応しなければなりません。ただ、その新元号に対応した機能を出すのはアメリカ本社の製品開発部なんですよ。

元号というのは日本固有のものなので、日本以外のカルチャーの人には、なぜ”平成”から”令和”にする必要があるのか、なぜ”1年”ではなく”元年”でなければいけないのか、わからないんです。これを彼らに伝わるようにわかりやすく、延々と説明したりしました(笑)。

なので、必ずしも日本のチームが持っていないノウハウを引き出すためだけに、アメリカ本社とコラボレーションするのではありません。普段からお客様の声を聞いている私たちが、日本のお客様ならではのニーズを、技術な視点で開発部門に伝えていくことも重要な役割の1つ。それがグローバルでのやり取りになるというのも、よくあることですね。

――その他にも、グローバルの開発部門と交流する機会はありますか?

K.S:
ありますね。グローバルでEUのサミットに集って、オープンにさまざまなディスカッションをする機会もあります。

ただ、時差の影響もありますから、普段はアジア圏とのやり取りが多いですね。私の上司はアジアパシフィック全体を見ていて、APJ(アジアパシフィックジャパン)という形で、1つのチームになっています。

実際に今、私のレポートラインにも日本と韓国のメンバーがいるので、「ちょっとこれについて教えて」とチャットで聞いたり。そういったコミュニケーションは、日常的に起きています。

N.I:
アジアは本当に、同じチームとして動いていますね。

社内で大きく広がるキャリアチェンジの選択肢

――これまでのキャリアと、その経験が今の仕事にどのように活かせているかを教えてください。

N.I:
私は、もともとゲーム会社で組み込み系の開発をしていました。カスタマーサービス&サポートのお客様はほとんどが開発者の方なので、同じ開発者の目線に立ってコミュニケーションできることは大きいと思います。

例えば、製品要件とこちらが提供しているサービスの仕様上、なかなか折り合いを付けづらい部分もあったりするのですが、そこを要件としてどう進めていくかを考えなければなりません。そういったところで、開発フローも含めてお話できるのは、これまでの経験が活かせているなと思います。

R.T:
私はエンドユーザー側だったんです。大手ゼネコンの情報システム部門にいて、社内システムの開発に関わったり、トラブルの対応をしたりしていました。そこで、エンドユーザーが何に困るのかを自身が体験してきたので、その経験がお客様への対応に活きています。

技術に関する知見は社内にたくさんありますので、自分なりに蓄積していくことができました。そこもエンジニアとしての面白みに繋がる部分だと感じます。

――エンジニアとしてのキャリアを考えた時、この会社に来て良かったと感じられるのはどんなことがありますか?

N.I:
この会社に来て一番良かったと思うのは、自分のやりたいことを伝えると、よほどのリスクがない限りは、基本的に任せてもらえるところです。チャレンジすることが、マイクロソフトのバリューになっているので、もし失敗したとしても、怒られたり評価が下がったりすることはありません。

それから、マイクロソフトではグローバルを含めると、営業でも開発でも研究でも、あらゆるキャリアの選択肢があるというところも大きいですね。

K.S:
外資系企業でよくオープンポジションと言いますが、まさにそのイメージです。

N.I:
自身のキャリアとしても、もともとエンジニアだったのですが、今はテクニカルアドバイザーというロールについています。部署移動も簡単で、「やっぱり自分はこっちの道に進みたい」と思う方向があれば、社内でいくらでも見つかります。そういう意味では、キャリアに対する不安はかなり感じにくくなりましたね。

――カスタマーサービス&サポートのメンバーで、これまで実際にどんなキャリアを選択された方がいらっしゃいましたか?

K.S:
例がありすぎて、お伝えするのが難しいくらいです(笑)。サポートの経験を積んで開発部門に移ったメンバーもいますし、もっとお客様のビジネスに深く関わる部門に移ったメンバーもいます。

あとは、ビジネス系のセールス部門であったり、マーケティングの部門であったりとか。ありとあらゆる、としか表せないくらいの例があります。

N.I:
キャリアチェンジに関しては、求める人にはいくらでもチャンスがある環境ですね。

K.S:
それから、一概にチームに何年いたら異動、という決まりもありません。数ヶ月でチームを移った方もいますし、私自身も長いですが20年を超える方もいます。

1つのことに特化する方もいれば、チームを変えて幅を広げる方もいますし、チームを変えずにロールをチェンジされる方もいて、本当に自分の意思次第です。

――社内でキャリアに関するアドバイスを得られる機会もありますか?

K.S:
はい。社内外を含めてキャリアセミナーが充実しています。さらに、今まさに私たちの部門では、人との繋がりを作るプロジェクトとして、いろいろな部門の方を招いて、「こういうキャリアを歩んできました」と語っていただく機会を定期的に設けています。

また、年に2回はキャリアディスカッションをする場があり、「最近こういう方向も考えている」とか「こんなことにチャレンジしてみたい」と発信しておくと、マネージャーは、メンバーのキャリアに活かせる機会を提案するように努めています。

R.T:
自分のやりたいことを発信しておくと、チャンスを与えてもらえるんです。実際に、私自身もそういう機会がありました。

K.S:
マネージャーになって、エンジニアに戻られる方もいたりするんですよ。そろそろ年齢的にマネジメントをやるべきかなという暗黙のプレッシャーを感じて、一度はマネージャーになったものの、やっぱり自分は技術が好きだなと感じてエンジニアに戻る、とか。

もちろん降格のようなネガティブな意味では全くなく、自分の意思でそういった選択をされる方がいて、それが認められる会社です。

さらなる柔軟な働き方を目指す「ワークライフチョイス」

――社内の環境や制度について、働きやすさの面でもアピールポイントがあれば教えてください。

K.S:
夢のような働きやすさだと思いますね。働き方改革を推進するリーディングカンパニーとして、社内ではいろいろな試みが行われています。

今年は「ワークライフチョイス チャレンジ2019夏」というプロジェクトが話題になりました。これまで言われてきた、残業を減らしてワークライフバランスを重視しましょうというフェーズから、さらに社員の一人ひとりに応じた柔軟な働き方を”チョイス”していきましょうという取り組みです。

きっちり決まった時間や場所で働くのではなく、例えば午前中に早く仕事をして、午後は早めに切り上げるのもありですし、「ちょっと今から子どもを迎えに行ってきます」と、仕事を抜けるのもありです。

私も上司からいつも「なんでそんなに会社にいるの?」と言われて(笑)。もちろんそれはポジティブな意味で、マネージャーがきっちり会社に来ていると「早く会社に行かなきゃ」「遅刻したら連絡を入れなきゃ」とか、チームに余計なプレッシャーを生んでしまうことがありますよね。そういう配慮が行き届いている環境です。

それから、私たちの部門では今とても女性が増えていて、それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が実現できるようになっています。私も子供が3人いますが、お子さんがいらっしゃるメンバーも多くて。

男性で育児休業を取っている方もいます。6週間の育児休暇が取得できるので、というよりぜひ取ってくださいと強く推奨されています。あとはファミリーケアですね。介護休暇や看護休暇を取られている方もいます。そういう働きやすさをサポートする福利厚生は、非常に充実していますね。