BizteX株式会社は「テクノロジーで新しいワークスタイルをつくる」をビジョンに掲げ、人間がより生産的で創造的な仕事にシフトし幸福度の高い働き方ができる未来を実現するために、デジタルソリューションの分野でNo.1を目指す企業です。2018年度グッドデザイン賞を受賞した国内初のクラウドRPAである「BizteX cobit(ビズテックス コビット)」を提供しています。
今回は、BizteXのCTOであり共同創業者でもある袖山さんと、エンジニアで現在CTO室にてエンジニアマネジメントも担当している垂水さんにお話を伺いました。
ーまずはBizteXの事業概要を教えていただけますか?
袖山:
当社では、クラウドRPAの「BizteX cobit」というサービスを提供しています。RPAとはRobotic Process Automationの略語で、例えば、Excelのデータ入力のような人が行っている定型的な操作を自動化するツールを指します。当社では、そのRPAソフトウエアをクラウドを通じて提供しています。RPAをオンプレミスで(お客様の社内環境にインストールして)提供するサービスは10年程前から存在していますが、クラウド上でRPAを提供するのは、日本では当社が初めてで、グローバルで見てもまだまだ少数派なんです。
ーRPAに着目したきっかけは何ですか?
袖山:
我々は、RPAに限らず広く“操作の自動化”で世の中を変えたいと考えているのですが、
この想いを抱いた原点は、CEO嶋田の会社勤務時代の経験にあります。嶋田が以前所属していた会社で営業をしていた際、アシスタントとしてついた優秀な部下が営業資料に必要なデータを収集し転記する定型業務に時間を取られていることに気が付いたそうです。「この定型業務を減らすことができれば、優秀な人材が生産的で重要な業務にもっと注力することができるのでは」との想いから、“操作の自動化”という着想を得ました。
ー事業の強みはどんなところにありますか?
袖山:
強みは大きく2つあります。1つ目は、設定の手間が省けるということです。オンプレミスでRPAを導入するとなると、サーバーへのツールのインストールや使い方の設定が必要なため、利用できるようになるまでに1ヶ月程度のリードタイムが必要となります。一方、クラウドで提供している当社のRPA「BizteX cobit」であれば、サイトにログインしてもらえれば登録したその日からすぐに利用できます。これはクラウドならではの良さだと思います。反対に、クラウド上から社内ネットワークへアクセスが必要となる操作を含む場合、社内システムに構築するオンプレミス型だと簡単に操作できることがネットワークセキュリティの問題で難しくなってしまうという課題もありましたが、当社は種々のソリューションでその課題を克服しました。
2つ目は、「誰にでも簡単に使用できるツールである」ということも当社の強みだと考えています。従来のRPAでは、プログラミングを書くようなルールに則って操作をコンピューターに覚えさせなくてはなりません。これは、ある程度専門的な知識を持っている人しかRPAを扱えないという状態になってしまいます。そこで当社のサービスは、人が行う操作をそのまま記憶させるような作り込みを意識的に行いました。ユーザーが画面上で操作すると、裏でBizteX cobitがその操作をフロー化し、自動化できるようになります。誰にでも簡単に操作できるというコンセプトを達成したRPAというのは、グローバルに展開している企業の中でもまだ少数派と言って過言ではないと思います。
ー今後の事業展開について教えてください。
袖山:
先程もお話しした通り、RPAにとどまらずWeb操作の自動化というカテゴリーでグローバルNo.1を目指すのが我々のビジョンです。そして、さらにその先にはWeb操作ではない分野での自動化にも挑戦したいと考えています。
また、RPAという分野においてサービスを提供する中で、蓄積する膨大なデータを活用した事業の展開も検討しています。お客様が作ったBizteX cobitのロボット自体がデータの宝庫なんです。ロボコードという名前で、業務の手順・フロー等、個々の業務を行うために必要な密度の濃いデータが蓄積されています。例えば機械学習などの手段を使ってこのデータの分析を行えば、どのような業界でどんな方がどのように業務を効率化しているかということがわかります。その結果を同じ業種の他のお客様が活用できるようにレコメンドすることで、世の中の効率化を加速させるようなサービスも提供することが可能なのではないかと考えています。
もちろん大まかなビジョンだけでなく、将来ありたい姿から逆算して具体的な目標も設定しています。5年以内には上場するという目標を掲げていますが、その頃には社員規模は100数十名程度エンジニアの割合は30〜50%程度にしたいと考えています。上場して得た資金を活用して上場後はグローバル展開を更に加速させる計画です。
ー袖山さんのようにビジネス面のビジョンまで具体的に語れるCTOは、日本ではまだ珍しいと感じますが、ご自身で意識されていることはありますか。
袖山:
特別意識はしていないですが、日頃からCTOとしての立場だけでなく経営者として会社をどう育てていくかについて、CEOの嶋田と密にコミュニケーションを取っているので、ビジネス面のビジョンが自然とクリアになっているのだと思います。また、BizteXの立ち上げ前は、自分一人で起業しようと考えていたので元々ビジネス面への興味が強かったことも影響しているかもしれません。結局、CEO嶋田の人柄や事業に対する熱量の高さに惹かれてBizteXにジョインしましたが、将来のキャリアとしてもビジネスサイドへ携わることには興味がありますね。
ービジネスサイドにも深くコミットできるCTOの下で働くことについてどう感じていますか。
垂水:
CTOが技術面だけでなくビジネス面についても幅広く意見することができると、エンジニアリングの方向性を決める上でのイシュー整理がCTOサイドである程度完結できるところが良いなと感じています。コミュニケーションがスムーズに取れるので方向性を決めるスピードが上がりますし、CTO室の私としては、エンジニアのマネジメント、アウトプットの最大化に集中できるためとても働きやすい環境です。
ーBizteXで働くエンジニアのビジネスへの関わり方についても教えてください。
袖山:
ビジネスサイドとエンジニアで日頃から密にコミュニケーションを取っています。例えば、顧客から機能改善の要望を受けてオフィスに帰ってきた営業の社員が、エンジニアに話をしに来るということは日常茶飯事ですし、営業サイドもGitHubにイシューを投稿しているので、GitHubベースでエンジニアとビジネスサイドとの議論が始まることもよくあります。エンジニア組織のマネジメントを担当している垂水も、エンジニアだけでなく、営業からカスタマーサクセス、経営層まで社内の様々な立場の人と密接にコミュニケーションを取っています。このコミュニケーションが、チームとしてのアウトプットを最大化するエンジニア組織マネジメントに繋がっていると思います。
垂水:
エンジニアとビジネスサイドとのコミュニケーションと言えば、毎週月曜日にエンジニア とカスタマーサクセスチームのメンバーが、抱えているイシューを話し合う場を設けています。話し合いながら緊急度と重要度の二軸でイシューをオフィス内のホワイトボードにマッピングし、最後はエンジニア側が、リソース等を踏まえて課題の進め方を考えることに利用しているんです。このマッピングを見れば、いつでもエンジニア 側は課題の重要度・緊急度を意識することができ、ビジネスサイドは事業の進捗が把握することができます。プロセスの透明化をすると、お互いの理解が深まり事業の好循環に繋がるのでこれからも続けていきたいですね。
ーエンジニアのマネジメントにおいて、大切にしていることがあれば教えてください。
垂水:
「会社の利と個人の利を合わせられること」、「メンバーの心理的安全性を確保できること」のこの2つを大切にしています。実は、以前働いていた職場でリードエンジニアを任された際に、優秀な人を集めればチームとしてのアウトプットが最大化されるという訳ではない、ということを痛感した経験がありました。それ以来、エンジニアチームとしてのアウトプットを最大化するためにはどうしたら良いかという視点でメンバーマネジメントを考えるようにしています。BizteXにジョインするまでテックリード志向だった私ですが、この経験から自分の技術力を高めるだけではなく、メンバーの力を合わせてアウトプットを最大化することでプロダクトの成功に貢献するマネジメントというポジションを目指すようになったんです。
ー実際の指導では具体的にどのようなことを意識していますか?
垂水:
大きく2つのことを意識しています。1つは、メンバーとのコミュニケーションの中でどういうキャリアを歩みたいのかをきちんとヒアリングするということです。「こういう開発にチャレンジしたいです」とか、「こういう言語を極めたい」等、会社とは切り離して個人としてどうしたいかを確認を行なっています。その上で、個人の志向に合わせたタスクを依頼し、会社に貢献すると同時に個人の成長も実現できるように心がけています。もちろん、希望に合わせてチャレンジングなタスクだけを任せていては、心理的安全性は脅かされてしまいます。そこで、本人が成功できる仕事を7割、希望に沿ったチャレンジングなタスクを3割程度の割合でお願いをしています。成功体験をしつつも、失敗を通じて自己成長にも繋がることを意識していますね。
もう1つ大切にしていることは、失敗を許容できる形で仕事の依頼をするということです。チャレンジングな仕事であれば、当然失敗する可能性は高くなります。失敗はもちろん悪いことではないのですが、失敗の仕方には気をつけないといけないと考えています。そこで、失敗してもリカバリーできる状態で仕事の依頼をするようにマネジメントすることを意識するようになりました。例えば、ある課題に対して本人にとって一番技術的に難しいと思われる課題を、最初の1週間のタスクとして渡すようにしています。このような方法で依頼をすることで、仮に失敗したとしても一緒にリカバリーする方策を考えることができます。また、失敗をリカバリーするために、ビジネスサイドに対して失敗するリスクをきちんと説明することも欠かさないようにしています。
ーイシューの分解が徹底されているので、副業・フリーランスの活用も進みそうだと感じましたが、現在の受け入れ状況はどうですか?
袖山:
副業・フリーランスとして、現在7名の方にジョインしていただいています。ただ、一言で副業といっても関わり方やその役割は様々です。週1で携わる方もいれば、フリーランスとして掛け持つ3つの業務の中の1つとして当社で働く方もいます。バックグラウンドも様々で、例えば現在週4日当社で働いている社員は残る1日を写真家として活躍しています。
垂水:
働き方に合わせて、お願いするタスクやマネジメントも工夫しています。例えば、週1〜2回の頻度で働いてくださる方には、社員である我々とは時間軸を切り離した別チームとして独立したイシューに取り組んでもらっています。このように重要度が高く緊急度は低い課題を依頼することで、コミュニケーションが週1回に制限されてしまうという課題を克服しています。一方、週 4日働いてくださる方には、社員と同じようにチーム内に合流してもらい仕事をお願いしています。副業というより週4社員という意識で接しています。
ー「週4社員」という魅力的なワードが出ましたが、その他に自社特有の働き方などはありますか?
袖山:
エンジニア は完全裁量労働制です。月曜・木曜は打ち合わせを行うため、出勤をお願いしていますがそれ以外はリモートワークを行うことが可能です。もちろんオフィスに来て働いている人もいますが、みんな積極的にリモートワークを活用している印象です。
個人のパフォーマンスを上げるためには“真の裁量労働制”が必要だと思っているので、働きやすい自由の効く環境を整えています。例えば、GW(ゴールデンウィーク)スイッチ制度というのも取り入れています。GWとして9連休を個人の好きなタイミングで取得できる制度です。どこへ行っても混んでいるし、何をするにもお金が高い時期に休むのは効率的ではないのではないかと感じてこの制度を作りました。世の中を効率化するのが当社の目指す姿ですから、そのためにまずは自社の働き方から効率化の推進をしています。
ー世の中の効率化に挑むBizteXでエンジニアとして働く技術的な面白さを教えてください。
袖山:
エンジニアがプログラミングの世界で当たり前に使っている「自動化」というものを、誰にとっても簡単で使いやすいものに見せながらどのように汎用化していくか、という課題にチャレンジすることができることがエンジニアにとっては面白いと思います。世の中を効率化させようというソリューションは多数出てきていますが、完全な汎用化はまだ世界中どこを見ても達成されていません。だからこそ、まだまだ面白い課題がたくさん残されているので、やりがいは大きいと思います。
ー最後に、一緒に働きたいエンジニアの人物像について教えてください!
袖山:
当社は今まさに、プロダクトマーケットフィットを目指すフェーズにあります。そのため、本当にマーケットで求められているものが何かを明らかにする仮説と検証を日々繰り返す必要があります。
このような段階に携わっていただく方となるので、ビジネスサイドとの議論含めコミュニケーションが適切に取れることは必須となります。また、スピード感を持って仮説・検証をするためにフルスタックに活躍できる方、例えば、ReactとRailsの両方を使いこなせるような方に携わっていただけたらとても嬉しいです。
もちろん我々自身も、働き方の工夫含めエンジニアの方に選んでいただける会社であるよう進化を続けたいと考えています。フルスタックに活躍できる方が、当社に携わった後にグローバルで活躍し、さらにはまた戻ってきたいと思ってもらえるような魅力的な会社に成長していきたいですね。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!