CTOこそプロダクトの成長にコミット!dely 大竹さんに聞く、生産性の高い組織づくりとは

インタビュー前編へ

レシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」を開発・運営するdely株式会社。2016年5月にローンチされた「kurashiru」は、現在では月間1億7000万回以上再生される日本最大級のレシピ動画サービスに成長しています。
インタビュー後編では、開発組織をつくっていく考え方やdelyが求めるエンジニア像について、CTOの大竹雅登さんと採用リーダーの新田慶秋さんにお話を伺いました。

“人が増えるほど、組織のアウトプットが増える”開発組織をつくる

―delyでは今後、どのような開発組織をつくっていきたいと考えていますか?

大竹:
グローバルで戦える開発組織をつくりたいと考えていて、そのためには“人が増えるほど、組織のアウトプットが増える”という組織をつくらなければいけないと思っています。

一般的な組織だと、全体のアウトプットと人数でグラフを描いた時に、線形にならず落ちていくんですよね。だいたいの企業は、ピークか少し落ちたところで採用人数をストップしますが、そうするとそこで組織の天井が来てしまう。新しい人が入ってこないと新陳代謝が上がらず、新しいチャレンジもできないという悪循環になります。
人が増えるほど組織のアウトプットが増える組織をつくるためには、1つは人的な組織マネジメント、もう1つはシステム的なアーキテクチャが必要だと考えています。

人的な組織マネジメントについては、意思決定をする人のマネジメント能力が問われると思っています。
特にベンチャーだとフラットな組織になる傾向がありますが、たしかに5人だったらいいと思うんです。それが20人、30人と増えていくと、何の優先順位が高くて、どう意思決定されているかがわからなくなってしまう。
そうではなく明確なプロダクトのビジョンがあって、ちゃんと意思決定するリーダーがいて、その下には少人数のメンバーという組織構造がベストだと考えているんです。

なので、今は開発部の中でリーダー候補になる人を選んで、その人たちにチームで最大限のパフォーマンスを出すために必要な考え方を僕なりにフィードバックして、ちゃんとした組織をつくれるリーダーを育成するということをやっています。
このようなリーダーが育成される仕組みができれば組織が伸びていくし、人数が増えてもアウトプットが右肩上がりになる組織ができると考えています。

―Findyユーザーのエンジニアから、フラットな組織がつらいから転職したいという相談を受けることがあります

大竹:
僕なりに「kurashiru」の事業をやっている中で、責任を持って意思決定をする人はやっぱり必要だなと思ったんですよね。
それぞれが言いたいことを言って何も決まらないっていうのが、一番誰もハッピーじゃない状況であって、反対意見もあるかもしれないけど責任を持って「これをやりましょう」という人が絶対に必要だなと。

―将来的にリーダーになってくれる仲間を増やしていきたいということですね。

大竹:
そうです。リーダーシップって、リーダーになる人にはもちろん必要ですけど、リーダーじゃない人にも絶対に必要だと思うんですよね。
自分はメンバーとして開発だけできればいいという人よりも、技術もリーダーシップも持っていて、任せられればいろいろと考えてやろうとする人の方が、どんな立場でも活躍する。だから、全員に将来的にはマネジメント側にまわることもあると言っていますね。ちなみに、リーダーに社歴はまったく関係なく、かなりフェアに見ています。

―先ほど挙がっていた“システム的なアーキテクチャ”とは、どのようなものでしょうか?

大竹:
僕らは長期的にものを見る時にFacebook社を参考にしているのですが、例えば20人のエンジニアがいて、21人目のエンジニアがチームに入ってきた時に、1日目からコアなところにコミットできるようなシステム的なアーキテクチャを作れるか、というところで試行錯誤した歴史がFacebook社にはあります。
キーワードはプレディクタビリティ(予測可能性)という考え方です。コードベースのどこを変更したらどこに影響するのかを誰が見ても明確にわかるようなアーキテクチャになっていれば、新しいメンバーでも安心してコミットすることができるし、開発スピードも速くなります。

プレディクタビリティを上げるシステム的なアーキテクチャとは何かと考えてFacebookが生み出したのがFluxとReactなんですよね。もちろん出てきたプロダクトも素晴らしいのですが、僕はその思考プロセスが素晴らしいと思っていて。

人が増えても組織の生産性を右肩上がりにしていくにはどうすればいいか、ということから彼らは考え始めていて、その方法としてシステム的なアーキテクチャを自分たちで独自に開発しているということが素晴らしいなと。
特に開発のチームにおいては、組織だけを変えてもダメで、こういったことを両軸でやらなければいけないと考えています。

CTOとしての役割は、いいサービスをつくることへの責任を持つこと

―大竹さんは、CTOとしての役割についてどう考えていますか?

大竹:
CTOの名前の本来の意味とは違うかもしれませんが、プロダクトのトップとしてやらなきゃいけないのは、どんなに方法論を語ったとしても、結局はいいサービスがつくれないとダメだと思うんですよ。どんな手段を使ってでも、例えここまで話したことが全部できていなかったとしても、いいプロダクトをつくっているところが偉いと思うんですよね。

プロダクトの責任者として見ているからには、プロダクトが伸びなければ話にならないし、技術のトップとしての役割は、いいプロダクトを作っていくことに対しての責任やコミットメントが一番大きいと考えています。

―delyでは、人事はエンジニアに対してどのような関係性をつくられていますか?

新田:
僕としては、エンジニアに対するリスペクトは誰にも負けない自信があるんですが、dely自体がそういう会社だなと思いますね。
代表の堀江もそうですし、ビジネスサイドやコンテンツサイドを含めた全員が開発者をリスペクトしている環境だということは、すごく誇らしいことだと思っていますし、人事としてそういうカルチャーを維持していきたいと思っています。

組織に関しては、大竹が先ほど話していたような哲学を持っているので、僕としては今のところ採用担当としての仲間集めと、メンバーが急激に増えてきているので、新しく入ってきたメンバーとうまく融合できる環境づくりをやっていきたいと考えています。

delyがエンジニアに求めるものはスキルとカルチャーフィット

―エンジニアの採用基準について教えてください。

大竹:
採用する人の基準は、高く設定していると自分でも思います。今エンジニアは20人弱しかいないので、超初期のメンバーとしてまずスキルがあるというのは前提で、自分たちでやろうとすれば、なんでもできるレベルのスキルセットがある人しか採っていません。
その上で、「もっとたくさんの人に使われる、こんなサービスをつくりたい」といった野心を持っている人を優先的に採用しています。

新田:
もともとネームバリューのある会社にいて技術力もあるだろうと思うような方でも、コード書いて課題を出してもらった結果、泣く泣くお断りしたケースが過去にあったりと、スキルがどれくらいあるかにはこだわっているチームだと思います。
人が足りていない状況でもぐっと我慢して、スキルやカルチャーへのフィットをしっかりと見ていますね。

―採用において他にも重視していることはありますか?

大竹:
傾向として、大手のIT企業にいて技術力は上げられる環境があるけれど、つくったプロダクトがリリースされないとか、リリースしても会社的に全然伸ばす気がないとか、そういったところにもどかしさを感じている人が、本気で「kurashiru」というアプリを伸ばしているうちの会社に魅力を感じてくださることはすごく多いです。

全神経を集中してプロダクトも事業もつくっていて、フォーカスしている度合いが高いほど熱中できるし本気度も高いし、実際それがたくさんのユーザーが使ってくれることに繋がる。そういうところがうちの最も魅力的なところだと思っていて、それを伝えた上でそこが響くかどうかで判断していますね。
それを伝えても響かないこともあるんですよ。そこに価値を感じなくて、新しい技術を使っているからとか、会社が伸びているからという人は感覚的には合わないです。

いいものを作るためなら手段を選ばない人の方が合うと思っていて、例えばエンジニアでも、人海戦術でユーザーヒアリングをガンガンするとか。「プロダクトを伸ばすためだったら、全然やります」みたいな人が、うちには合うと思います。そういったカルチャーフィットはかなり見ていますね。

―最後に、Findyのサービスに期待することを教えてください。

大竹:
いろいろなチャネルを使って採用をしていて、チャネルによってはマッチしていない人が来てしまったり、書いてある内容と来てもらった時にギャップがあったりするんですけど、Findyでの出会いは精度が高いです。実際に、11月からFindy経由で1名入社してもらっていますが、入社前の自己紹介の際にも誰よりも高い熱量でdely のフロントエンドについて語ってくれていました。
開発職という狭いコミュニティの中での人材系のプロダクトでは、完成度が高いものはまだ少ないと思うんですけど、一番理想形のところにFindyさんはなってほしいですね。できるならすべてをそこでまかないたい、というのが個人的な期待です。

新田:
Findy代表の山田さんは、質問に対してすぐに回答を頂けますし、オフィスも近く相談にも気軽に応じて頂けます。その時は採用に限らず、制度、労務などあらゆる引き出しをお持ちなので、すごく助かっています。採用ツール以外にも会社の人事的な課題など多分野にサービスを展開していただき、世の人事担当をもっと助けていただきたいですね。

―大竹さん、新田さん、ありがとうございました。

インタビュー前編へ